産業廃棄ゼロ製品を開発・D2C展開により、価値に共感する固定客を獲得、売上を安定化
産業廃棄物ゼロの胡蝶蘭を制作、直販へと展開


有限会社ヒカルオーキッド
環境配慮への取り組みにより、売上だけでなく市場での自社認知度を向上
農業有田市従業員数 1~100人
企業情報
- 代表者
- 代表取締役社長
佐原 宏
- 設立年
- 1996年
- 本社所在地
- 和歌山県有田市
- 従業員数
- 50名
- 事業概要
-
- 胡蝶蘭の生産、販売
目次
-
きっかけ・概要
顧客離れに危機感、
環境配慮で他社と
差別化を!-
胡蝶蘭の提供に使われる鉢や鉄線などが、顧客に廃棄コストの負担をかけていることに問題意識を持っていた
- 「胡蝶蘭を置くのをやめる企業」も出てきているため、"生産者がニーズを潰しかねない" との思い
- 知人経営者との会話の中で、他社との差別化、ひいては自社の売上安定化のために、環境配慮を軸とすべきと確信
取組の経路
-
胡蝶蘭の提供に使われる鉢や鉄線などが、顧客に廃棄コストの負担をかけていることに問題意識を持っていた
-
取組内容
独自技術の開発・
新たなチャネル開拓に挑戦脱炭素の価値化
顧客の廃棄コスト削減の実現に向けた、産業廃棄物ゼロ製品「フォアス」を制作胡蝶蘭の周りの鉢や支柱などの脱プラ・脱金属
- 紙製の鉢を開発し、形状に関する特許を取得
- 支柱も紙製で手作りし、繊細なパーツ・部品を使用
- 産廃ゼロ製品に関するアンテナを張り、自社への取り入れや外注に成功
効果的に価値を伝達すべく、エンドユーザーへの直販チャネルを開拓
元々は卸売ビジネスであったが、当初は市場や花屋に評価されず、顧客に価値を理解してもらいやすい直販へと展開
脱炭素の実践
輸送効率向上により、間接的に脱炭素を実現製品が軽量化されたことで、輸送コストが低減
取組の難しさ
既存取引先への訴求当初は直接の取引先である市場や花屋には評価されず
商品化に向けた試行錯誤紙製の鉢や支柱の制作は手探りで、計5年程度かかった
-
成果・効果
大手企業の理念共感を
突破口に販売拡大足元、「フォアス」の売上は順調に成長
- 直近1年間で、「フォアス」の売上は約2倍に
- 顧客企業にとっても「環境に優しい」というイメージアップに貢献
エンドユーザーの固定客獲得による売上の安定化
- 理念への共感や廃棄の利便性が評価され、大企業を含めた企業へのD2Cでの販売拡大に成功
- サブスク展開による更なる売上安定化も視野に
- 現在では従来チャネルの花屋への卸しも実現
輸送効率の向上
- 「フォアス」は従来の胡蝶蘭より軽量であり、輸送コストの削減に
今後の展望
「フォアス」の更なる売上比率向上従来製品に比べて材料コストや営業の人件費がかかっており、採算面が課題
「今後の競争力に必要」との認識から、継続性と将来性を見据えて取り組む
直販モデルの拡大直販の方が利幅は取れるため、直販の割合を増やすべく、生産規模を縮小して営業を増やす方針
企業向けインテリア・装飾品としてのサブスク契約導入インテリア用途として利用可能にし、継続契約やサブスクリプション形式の導入を構想
環境や人に優しい製品開発を進め、循環型資材 (黒竹 等) を用いた活用例を自社展示場にて紹介
-
代表者コメント
新たなビジネスモデル
導入・長期収益基盤
確立を目指す
代表取締役社長
佐原 宏
胡蝶蘭を生産・販売する中で、鉢や支柱などの廃棄物が、顧客に廃棄コストの負担を与えていることに課題を感じていました。実際に胡蝶蘭の設置をやめる企業が出てきたことに危機感を抱き、こうした問題が放置されれば生産者が市場のニーズを潰しかねないという認識を持ちました。また、信頼する経営者との対話を通じて、環境への取組が競争環境の中で企業の差別化につながるという示唆を得て、自社でも環境配慮型の商品開発に取り組むことを決意しました。この背景には、単なる事業継続ではなく、売上の安定化と市場での価値向上を目指すという経営方針がありました。
紙製の鉢や支柱を開発し、従来のプラスチックや金属製品を代替することで、産業廃棄物ゼロ製品「フォアス」の開発に取り組み、産業廃棄物の排出をゼロにする商品設計を実現しました。鉢については形状に関する特許を取得し、支柱は手作りで製造するなど、独自の技術を取り入れた、細部にまでこだわった製品づくりを行っています。「フォアス」の製造・販売にあたって、元々は市場や花屋への卸売のみのビジネスモデルでしたが、当初は「フォアス」が卸先から評価されにくかったこともあり、環境配慮型製品の価値を顧客に直接伝えるため、卸売りから直販モデルに移行しました。また、胡蝶蘭を祝いの場だけでなく、オフィスインテリアとして利用する新しいビジネスモデルを構想しています。継続契約を可能にするサブスクリプション形式を導入し、長期的な売上の安定化を目指しています。
紙製の鉢や支柱の制作は、試行錯誤の連続であり、5年程度の時間を要しました。また、当初は市場や花屋での評価を得るのが難しく、顧客に製品の価値を理解してもらうまでに時間がかかりましたが、環境配慮型製品「フォアス」は、エンドユーザーへの効果的な価値伝達により、直近1年で売上が約2倍に成長しました。特に、顧客企業からは「環境に優しい商品を使用している」というイメージアップに繋がる点も評価されています。現在では、従来チャネルである花屋への卸売も実現しています。さらには直販モデルの展開により、大手企業を含めた固定客の獲得に成功し、売上の安定化に寄与しています。環境配慮を感じさせるパンフレットも、訴求しています。また、輸送コストの低減も成果の一つです。「フォアス」は従来の胡蝶蘭よりも軽量化されており、これにより間接的な環境負荷の削減も実現しています。
今後も売上の安定化に向けて、「フォアス」の売上比率をさらに高める方針です。これに伴い、直販モデルを拡大し、営業体制を強化することで、採算性を向上させる計画を立てています。また、オフィスインテリアとしてのサブスクリプションサービスを導入することで、長期的な収益基盤の確立を目指しています。